古来の織物は、非常に魅力を持っています。
様々な創意工夫をちりばめ、絹糸をその絹織物のために誂え、糸味の個性を最大限に生かし織り上げられます。
決して均一ではなく、キレイに織り上げられているわけではないのに、どこかホッとしながらも、それでいて品格に溢れています。
「そんな織物をつくりたい」。それが私共のモノ作りのコンセプトです。
蚕を飼い、糸を作る。私共は、養蚕、機、染め、撚糸…すべての工程を自分達で確認しながら、「絹糸本来の持つしなかやかさ、透明感、軽さ、光沢感」などを感じてもらえるよう、細部にまで気をくばり、一貫したモノ作りを目指します。外部委託は行わず、すべてを自社内でまかないます。
決して量産はできません。お客様のご要望のモノを一点一点、手間ひま掛けて織り上げます。
京都に伝統的に伝わる西陣織の手仕事の世界。また、絹糸の供給を根底で支える日本の養蚕業。効率化が優先される現代では、そのどちらもが失われようとしています。そうならないために、絹にまつわる文化や技術を、守り伝え次の世代に繋ぐことも、私共の使命だと考えています。昔、養蚕が盛んだった長野に工房を構え、大自然の恵みを生かして養蚕~製織までを行うことは、古代から脈々と受け継がれてきた文化を繋いでいくための、新たな試みの一つです。
蚕のえさとなる桑の栽培から糸づくりは始まります。
現在は熱風で短時間乾燥させて殺蛹し、保存する方法が主流。
他に、蒸す・天日乾燥・冷蔵などがあり、それぞれの保存方法によって
糸の風合いが変化します。
手廻し座繰り機に、茹でた繭を一粒ずつ付けていきます。
ゆっくりとしたスピードで糸を作り出すため、
しなやかで美しい糸となります。
繰り上がった経糸にはセリシンが付着しています。
生糸のまま使用する事もできますが、目的に合わせて糸を精練します。
藁灰から抽出した「灰汁」で糸を炊いてセリシンを溶かし出します。
天然の草木から抽出した色は、やさしい色。
環境にも人体にもやさしいのです。
機に掛ける経糸を作る作業。反物の長さになるように巻きつけます。
織る時に同じテンションになるように、加減して巻き取っていきます。
一本ずつ綜絖に通し、さらに筬に通された経糸を千巻きに
結び付けて張りようやく織り始める事ができます。
織り上がった後、お湯・水に通して石の打ち台で布を砧で何度も叩きます。
何度も繰り返して湯通し・砧打ちを繰り返す事で、
布に張り艶が出されるのです。
【引き箔錦の特徴】
●経糸には絹糸。緯糸に箔(和紙の上に金、銀、プラチナ、漆等を細工したもの)を引き込んで織り上げています。
●緯糸に使っています箔は、三椏(植物の名前、通常和紙には、三椏、コウゾ、雁皮がつかわれる)の繊維で漉いた和紙
を三年寝かせ、紙の繊維を馴染ませます。その和紙の上に漆を塗りこめ、接着剤として使います。漆の上から用途に応じた
金箔、銀箔、プラチナ箔を貼っていきます。そうして作られた箔を、織物の出そうする質感に従って箔の太さを決め裁断していきます。
●使用しております箔の純度は、金箔97.666%、銀箔100%、プラチナ箔100%と非常に純度の高いものを使用しています。
京都市内から車で約一時間、紅葉の名勝「高雄」をぬけ、左右に北山杉の杉木立を見ながら走らせると、そこは京北町、周山。周山はその字のとおり、周囲を山々に囲まれ、盆地特有の湿度を感じさせます。
その湿度が絹糸を非常に扱いやすくさせてくれるのです。
より湿度を生かすために、土を掘り、土間を作り、その上に機をたて絹織物を作っております。
日本国内での手織りの帯は年々減少傾向にありますが、弊社では現在16名の手機の職人により創業当初からの伝統技術を守っております。
機織の音を子守唄の様に聞きながら、子供の頃より機場で遊んでいた同氏も15才の頃からは、至極当然の様に機に上り織りだしました。 昭和39年に先代(故勝山実夫)と出会い、昭和44年当社の周山工房の長として同地に移り住み、織り手さん達の指導の傍ら機に上り、特に新しい地風のものを試織・考案しています。
長野県・飯島町。この地域の風土、歴史的背景は、日本でいちばん養蚕、製糸に適していると考えられます。
今では世界的に見ても、化学薬品を使わず、人間と自然の調和を大切にした手によるものづくりは異常な速さでなくなろうとしています。一度なくしてしまったものをもう一度作っていくということは、非常に困難です。そうなる前にぜひともこの地に養蚕から糸作り、染めまでを総合的に行う場所をつくりあげたいという思いから、5年前にこの地に工房を構えました。
それから毎年、5、6種類の蚕品種を育成し年間約17万頭の蚕を飼育しています。
蚕品種は固定せず、毎年違った品種を選び、様々な風合いの絹織物をつくっております。さらに今年からは10反分の桑畑を確保し、新たに桑を植え、より良いものづくりを目指します。
同学会にて(財)元輿寺文化財研究所、(独)奈良文化財研究所の共同研究者とともに、「古代から中世の組紐の糸に関する調査」 「文化財の修復材料としての絹糸の調査・1~6」を発表する。
西陣織は、十六世紀、平安京に所属する織り手の集団「大舎人座(おおとねりざ)」の三十一軒から始まりました。応人の乱以後、山名宗全率いる西軍が陣地を構えていたことから「西陣」という地名が生まれました。 その歴史ある場所において、私共は織物業を営んでいます。
創業は1891年。初代勝山又吉が、この界隈で呉服商を始めたのが発祥です。
二代目より、家内工業的に帯を作り始め、三代目実夫が家業を継ぎ、勝山機業店となりました。
四代目、当代勝山嘉夫はその意志を引き継ぎ、周山に工房を設立。「手機で帯を織る」という、自らが職人だった先代の頃と同じやり方のモノ作りを始めます。 以来、勝山織物は、今も当時とかわることないモノ作りの姿勢を貫いています。
思い・・・
“自然にしたがえ、古代を学べ、自己の芸術をつくれ、他人から盗むな、為さんと決心した困難を完成する労苦、忍耐、勇気をおしむな”ウィリアム・モリス著「民衆の芸術」より
この言葉を心に秘め、日々正直に努力して絹づくりを進めております。
勝山健史プロフィール■19世紀末、京都・西陣で創業の「勝山織物」五代目。自身が織物の原点であるとする絹糸、納得できる絹糸を求め、2002年、長野・飯島町に養蚕から織まで一貫制作を可能にした工房を設立。代々受け継いだ西陣の技術と素材の最良の組み合わせを大切に、日々進化し続ける織物制作を心がける。また、博物館の古代裂修復用の絹布なども手掛ける。
2018年8月4日(土)14:00~(開場13:00)
★レセプションパーティー/16:30~18:00
8月4日はご好評につき定員に達しました。
ありがとうございます。
ほかのお日にちにつきましてはご自由にご覧頂けます。
展示会
8月1日(水) 13:00~18:00
8月2日(木)・3日(金) 11:00~18:00
8月5日(月) 11:00~16:00
場所:アンスティチュ・フランセ関西 - 京都 3F(旧関西日仏学館)
京都市左京区吉田泉殿町8
Tel. 075-761-2105
京阪電車 出町柳駅より徒歩12分
市バス31・65・201・206系統、京都バス18系統「京大正門前」下車すぐ
※駐車場はございませんので、近隣コインパーキングをご利用ください。
主催/工芸帯地 洛風林
会期中のお問い合わせ: 工芸帯地 洛風林 Tel. 075-231-6536(代)
「用の美」
そして 今の時代に
「要となる美」
絹の真剣に向き合う程、
支配しきれない美しさに
驚かされる
清く 潔く 神聖な美しさ。
祈りを込めたような裂。
縦(経)・横(緯)・高さ+時間
光、風、仕草に刻々とうつろい
織の中に刹那な美しさ漂う。
「経糸と緯糸がいちばん心地良いところ。
それがいちばん美しいところ。」
ありていに絹織物と向き合う。
新緑の風が吹き、さあ第三幕が始まります。
長い冬が終わり、早春のやわらかな光の中
顔を出した小さな新芽。
長野に工房を立ち上げ、十年目を迎える新たな年
大空に向かい伸びゆく二葉のように
直向きに創り上げた作品。
桑を植え、蚕を育てる。糸を繰り、布を織る。 織物の原点に立ち返り、理想の繭を求めて自ら養蚕に取り組む染織作家・勝山健史。
みずみずしい光沢、深みのある風合い、しなやかな感触。 絹糸本来の魅力を極限まで追求することによって生まれた、優美な布の世界。
桑の栽培に始まり、繭を育て、糸を紡ぎ、織物を作る。日本古来の材料と技法にこだわり、昔ながらの一貫したものづくりを現代に再現する染織作家勝山健史氏。 絹糸本来の素材美を追求した絹織物は、みずみずしい光沢、深みのある風合い、しなやかさなどの魅力に富んでいます。本展では、着物や帯の新作約50点を展示。西陣織の伝統と現代の感性とが融合した、優美な布の姿をご覧ください。
この度セレクトショップPROZESTTにて「帯と着物の会」を7/27~28白金店、 7/29東京ミッドナイトタウン店にて開催いたします。 初めての試みとなる、セレクトショップでの販売です。 お洋服の隣にお着物が並ぶ・・私たちが以前より望んでおりました企画です。 この機会にもっと「きもの」を身近に感じて頂ければ幸いに思います。
養蚕からの一貫した絹織物の制作に特別な思いを込めて取り組み、 出来上がった創作シルクの作品を初めて披露させていただくこととなりました。
初めての試みとなる服地の販売を行いました。 このオーダー会は銀座マリオペコラ佐藤氏が勝山健史のものづくりのに共感していただいたことによって、 コラボレーションが実現いたしました。
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